はじめに
先のページで、論文「Learning Convolutional Neural Networks for Graphs」の紹介を行った。その中で、Canonical Labellingを行う際に、Nautyというツール(ライブラリ)を用いていた。ここでは、Nautyの提供するC言語インタフェースを用いて、Canonical Labellingを行う手順を示す。
Nautyのインストール
ここからソースをダウンロードする。コンパイル手順はソースに含まれるREADMEに書いてある。 上の処理が終わると、ディレクトリnauty26r7の直下に実行ファイル、オブジェクトファイル、ソースファイル、ユーザガイドが混在する状態になる。上の例では、--prefixを指定してあるが、ディレクトリに含まれるmakefileにはinstall命令が記述されていない(後で気づいた)。make installできないので、実行ファイル等を手で適当な場所にコピーする必要がある。ユーザガイドはオンラインでも見ることができる。
開発環境
- Xcode Version 8.2.1 (C++ Language Dialect: C++14)
- boost library
- cpplinq
サンプル1
最初に、ユーザガイドのp4の冒頭にある下図を取り上げる。
図1 |
図2 |
densenauty
を呼び出した後、配列lab
に以下の値が設定される。
これは以下を表現している。
すなわち、図2の上段の元のグラフの頂点番号3は0に、6は1に置き換えることを意味する(他の頂点についても同様)。配列relabelling1
は分かり易いように表現方法を変えただけの値である。
これは
を意味する。すなわち、元グラフの頂点番号0を6に、1を5に置き換える(他の頂点も同様)。図1右側の2つのグラフについても同じように解釈すれば良い。結局、図1下段の2つのグラフが得られたことになる(図3)。
図3 |
サンプル2
次にユーザガイドのp5冒頭にある図を考える(図4)。
図4 |
lab,ptn
を用いて表現する。図4左側の2つのグラフの色分けは以下の2つの配列で記述される。
lab
には頂点番号が任意の順番で格納される。この格納順にptn
で色の分離位置を表現する。0の場合そこが色の境界である。0以外の値のとき同じ色である。すなわち、{0,2}と{1,3,4,5,6,7}に色分けされることになる。図4では前者は黒、後者は白で描かれている。図4右側の2つのグラフの色分け(58,59行目)も同様である。densenauty
の呼び出し(39,66行目)の後のlab
にはcanonize後のラベルが格納され、この解釈方法はサンプル1と同じである。canonize後に得るグラフは図4の下段である。これら2つのグラフの頂点の隣接関係は異なる。これを確認しているのが80行目である。最後に、headerファイルとmain関数を示す。
論文「Learning Convolutional Neural Networks for Graphs」への適用
論文「Learning Convolutional Neural Networks for Graphs」では、最初に、betweenness centralityやWLアルゴリズムにより頂点のラベル付けを行なった。そして、同じラベルを持つ頂点が存在する場合、この縮退を解くためにNautyを用いている。同じラベル値を持つ頂点を同じ色を持つ頂点と解釈し、Nautyを適用すれば良いだろう。
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